「民間事業者がインターネット上で行う登記申請書類等の自動生成サービスについての会長声明」を発出しました。
民間事業者がインターネット上で行う登記申請書類等の自動生成サービスについての会長声明
三重県司法書士会
会長 山本 一宏
司法書士は、相続の専門家であり、「登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家」として、国民の権利を擁護し自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とし、法定相続情報証明、自筆証書遺言書保管、成年後見、相続財産管理人、不在者財産管理人等の相続に関係する業務を行っているところ、令和3年4月21日、民法等の一部を改正する法律及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律が成立し、「相続登記の申請の義務化」(相続人は、3年以内に相続の登記を申請しなければならない)が令和6年4月に施行を控えていることから、三重県司法書士会は、相続登記相談を積極的に実施しております。(三重県司法書士会総合相談センター お問合せ先 TEL.059-224-5171 また、各地区における無料相談会については、当会HPをご覧ください。)
ところで、令和5年2月21日開催の衆議院予算委員会第三分科会において、インターネットを利用した登記申請書等の自動生成サービスについて質疑が行われました。同質疑においては、一部民間事業者による違法行為が疑われる事例が散見されるとの指摘がなされ、政府参考人である法務省民事局長から「民間事業者が依頼者に代わって登記書類を作成したと評価されるような場合」、「収集した戸籍記載から民間事業者の判断で相続人を特定し依頼者に代わって登記書類を作成したと評価されるような場合」、「個別具体的な事案を前提に登記申請書類の作成に関する相談を受けて回答したり、助言したりして、登記申請書類の作成にあたって依頼者からの相談に応じたと評価されるような場合」には、司法書士法に抵触するおそれがあるとの答弁がなされました。
民間事業者や無資格者が、登記申請書類の作成や書類作成の相談に応じることは、司法書士法に抵触する違法な行為であり、司法書士法第78条により、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる行為です。
三重県司法書士会は、実質的な登記申請書類の作成者であるにもかかわらず、本人申請の外観を呈した申請行為を作出し、手続法上何らの責任を負わないような民間事業者の活動について監視を継続し、また、民間事業者や無資格者による登記申請書類の作成や書類作成の相談が疑われる事案については、所要の調査を実施して、厳正に対処していきます。
司法書士は、登記手続の申請書類作成や代理申請を行うだけではなく、個々の具体的な事案に即した説明や助言を行うことでトラブルの発生を予防し、依頼者の権利及び財産を擁護するために法律事務を行っています。市民の皆様におかれましては、違法なサービスを利用することで予期せぬトラブルに巻き込まれることのないよう十分お気をつけください。また、自治体の担当者様におかれましては、民間事業者と連携等する際には、司法書士法に違反するサービスでないか慎重にご判断いただき、今後は安易な連携等により市民に違法なサービスを利用させることがないよう十分にご配意ください。
声明文の全文はこちらをご参照ください。